高齢化社会

相続支援ラボ

高齢化社会

 わが国では、2015年10月現在では、総人口1億2711万人、65歳以上の高齢者人口3.392万人、
総人口に占める割合(高齢化率)は26.7%です。(内閣府「平成28年版高齢化社会白書」)。平均寿命は、
83.7歳(男性80.5歳、女性86.8歳)であり、世界最高の長寿国です。(世界保健機関が発表した世界保健統計2016)。
そのうえ、さらに今後高齢化社会は進み、高齢化率は、2035年に33.4%(3人に1人)、2060年に39.9%
(約2.5人に1人)が65歳以上の高齢者となる社会が到来するとの予測が公表されています。
 このように人々が長生きする社会は、喜ばしい事ではありますが、相続の観点からみると、その問題が複雑に
なり、解決への困難さを増していることを意味します。高齢化が問題を複雑にし、解決の困難が増す理由は、
主に4つです。
 第1に、相続人の数の増加です。相続人が高齢化することによって、相続人となるべき親族が先に
亡くなることも多くなり、孫・甥・姪が被相続人の遺産を相続するケースも増えます。
(これを代襲相続といいます)。相続人の数が増えれば、それだけで話がまとまりにくくなるに
加え、孫・甥・姪は、子や兄弟ほど蜜ではありません。被相続人との関係も薄く、互いに日常的な交流を
持っておらず、親戚同士が相続の時に初めて顔を合わせたとしても、それぞれの事情や考え方を理解することが
出来ず、簡単には意思疎通をはかることは出来ません。また、配偶者と死別あるいは離婚した後に高齢者が
再婚をすることも多くなってきていますが、再婚がなければ子供たちが取得した財産を、配偶者とその
子供たちが取得することになり、相続のトラブルをより複雑化させます。
 第2に、相続人が高齢化することによって、相続人の中に判断能力を欠く人も含まれる可能性が高まり、
遺産分割の協議がまとまりづらくなります。
 第3に、高齢になれば一般に不動産を中心とする資産が増えていきます。不動産保有の
状況を見ても、常時居住世帯のある住宅のうち、61.9%が持ち家住宅です。持ち家世帯率に占める家計主の年齢
を見ても、年齢層が高くなるほどその割合も高くなり、65歳以上では、8割以上となっています。(総務省統計局の
「平成25年住宅・土地統計調査」)資産が増え、不動産の保有率が高くなると、分割しづらい資産が大きくなり
分割に支障をきたすことになります。
 第4に、相続人が将来に対する不安を持たざるを得ないことです。人は年齢を重ねるごとに
それまでと異なった将来の不安を抱えます。全国の65歳以上の男女へのアンケート調査によれば、将来の日常生活に
関して不安を持つ項目として、「自分や配偶者の健康や病気の事」(67.6%)、「自分や配偶者が寝たきりや身体が
不自由になり介護が必要な状況になる事」(59.9%)、「生活のための収入の事」(33.7%)という数字が出ています。
(内閣府による2014年10月「高齢者の日常生活に関する意識調査」)高齢化への不安は、遺産に期待する意識の
高さにつながります。遺産が将来の不安解消への資産取得のチャンスと捉える考え方が強ければ強いほど、
遺産分割にあたっての相続人のこだわりが大きくなっていくことにならざるを得ません。
高齢化社会の画像1


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